要点:炸醤麺とは?
炸醤麺(炸酱面, zhájiàngmiàn)は北京との結びつきが特に強い中国の麺料理で、小麦麺に、発酵調味料を油で炒めて作る濃厚なたれを合わせます。
- 麺:コシのある小麦麺に濃厚なたれがよく絡みます。太さや形はさまざまです。
- 炸醤:発酵調味料を油で炒め、豚肉は角切りやひき肉で加えることが多く、コクのあるたれに仕上げます。
- 野菜の付け合わせ:菜碼(菜码, càimǎ)として、生または加熱した野菜や豆類を添え、濃厚なたれにさっぱりした味と食感の変化を加えます。
中国の麺の中でも、炸醤麺は一般に茹でた麺をたれと和える料理です。名前の「炸」はたれの調理法を指し、麺そのものを炒める必要はありません。

北京では、濃い色の豚肉入り炸醤に、シャキシャキした細切り野菜を合わせることがあります。台湾の家庭風では、きのこや豆腐を加えることがあり、香港の茶餐廳では、赤みがかった酸味のあるたれに細切り豚肉を合わせる例もあります。同じ炸醤麺という名前でも、麺、たれ、トッピングの組み合わせは地域によって異なります。
なぜ「炸醤麺」と呼ばれる?
たれは炸醤(炸酱, zhájiàng)、文字どおり「炒めた醤」です。発酵調味料と香味野菜を油で炒め、肉も加えることが多く、濃厚なたれに仕上げます。麺は通常別に茹で、最後に炸醤と野菜を合わせます。[1]
これは、麺そのものを炒めることが中心のチャウメン(炒面, chǎomiàn)とは異なります。炸醤麺では、麺をカリッと焼いて土台にしたり、仕上げに麺を炒めたりする必要はありません。濃い色とつやは主にたれによるもので、中華鍋で麺を焼き付けた色ではありません。
炸醤麺を構成する3つの要素
小麦麺とその食感
小麦麺のコシと弾力が、料理の食感の土台になります。北京では手擀麺(手擀面, shǒugǎnmiàn)がよく使われますが、機械切りの麺や乾燥小麦麺もあります。伸ばして切る麺は平たいこともあり、必ずしも丸い断面ではありません。太めの麺は濃厚なたれにも負けない食べ応えがあり、細めの麺はより軽い口当たりになります。[1]
麺の太さに共通の決まりはなく、手打ちであることも炸醤麺と呼ぶ条件ではありません。香港風などでは卵麺やアルカリ麺を使う例もあります。麺の配合と、どのようなたれを合わせるかは別の要素です。
発酵調味料と肉入りの炸醤
黄醤(黄酱, huángjiàng)は、発酵由来の濃いうま味を加えます。甜麺醤(甜面酱, tiánmiànjiàng)は伝統的に小麦粉を発酵させて作られ、甘みとコクを加えます。北京の家庭料理では両方を混ぜる場合も、一方だけを使う場合もあり、甜麺醤だけで作る例も記録されています。[2]
英語の “sweet bean sauce” という呼び方は誤解を招くことがあります。市販品の配合はさまざまで、大豆と小麦の両方を含むものもあるため、「豆だけで作られている」「大豆不使用」と決めつけることはできません。[3] これらは、四川で使われる辛い発酵豆調味料の豆板醤(豆瓣酱, dòubànjiàng)とも別物で、豆板醤を使うと辛さや風味も変わります。
角切りの豚肉は噛んだときに肉の存在感が出やすく、ひき肉はたれ全体になじみやすくなります。どちらか一方がすべての家庭で必須というわけではありません。塩味、甘み、コク、肉の量はそれぞれ異なり、たれが濃い色だからといって味のバランスまで一つに決まるわけではありません。
野菜の付け合わせ:菜碼とは?
菜碼は単なる飾りではなく、炸醤麺を食べるうえで大切な要素です。細切りのきゅうりや大根は歯ごたえを加え、もやし、大豆、その他の野菜は加熱して添える場合もあります。内容は季節や作り手によって変わり、決まった必須リストがあるわけではありません。[4]
さっぱりした味と歯ごたえの異なる菜碼が、濃厚なたれの重さを和らげます。最初から盛り付けた状態で出す店もあれば、小皿の付け合わせを自分で混ぜる店もあります。北京でいう「七皿八碗」は豊かさを表す言い回しで、必ず15種類の付け合わせをそろえるという意味ではありません。[4]
地域で異なる炸醤麺
地域名は手掛かりになりますが、家庭ごとの作り方にも大きな違いがあります。以下は代表的な例で、その地域のすべての炸醤麺に当てはまる決まりではありません。たれの色だけで判断せず、使う発酵調味料、肉の大きさ、たれと野菜の組み合わせを見ると違いが分かりやすくなります。
| 例 | たれと肉 | 麺と付け合わせ | 風味と特徴 |
|---|---|---|---|
| 北京風 | 黄醤、甜麺醤、または両方を混ぜ、豚肉の角切りなどを加えることが多い。 | コシのある小麦麺に季節の菜碼を合わせる。生野菜も加熱した野菜も使われる。 | 発酵調味料のうま味が濃く、コクのある味わいです。使う醤、甘さ、肉の切り方は家庭によって異なります。[2][4] |
| 台湾の家庭風 | ひき肉に、しいたけや水分を抜いた固めの豆腐を角切りにして加える例があります。 | 小麦麺に、細かい具が入ったたれを合わせます。生のきゅうりを添えて食感に変化を加えることもあります。 | 具材の食感ときのこの風味を生かしたタイプもあります。豆腐、きのこ、唐辛子が台湾のすべての炸醤麺に必須というわけではありません。[5] |
| 香港の茶餐廳風 | 細切り豚肉に、ケチャップ、酢、チリソース、発酵させた豆の調味料などを合わせる例があります。 | 茶餐廳(茶餐厅, chácāntīng)では、細めの卵麺やアルカリ麺を使い、加熱した青菜を添える例があります。 | 赤みが強く、酸味、甘み、辛みを感じるタイプがよく見られます。たれや付け合わせは店によって異なり、北京風の菜碼をそのままそろえる必要はありません。[6] |
炸醤麺と韓国のチャジャンミョンの違い
韓国のチャジャンミョンは中国の炸醤麺と共通するルーツを持ちますが、韓国の中華料理の中で独自に発展しました。一般的なタイプは、豚肉や玉ねぎなどの野菜を使った、非常に濃い色でつやがあり、甘みと塩気のあるソースが特徴です。炸醤麺と関係のある料理ですが、北京風炸醤麺の別名ではなく、独自の作り方があります。[7]
特徴的な発酵ペーストはチュンジャンです。英語では “black bean paste” と呼ばれることがありますが、黒大豆だけで作られているという意味ではありません。市販品には小麦粉、大豆、カラメル色素などが含まれることがあります。[8] 韓国版が中国版より必ず甘いわけでも、濃い色だけでチュンジャンと判断できるわけでもありません。実際のたれと原材料を確認してください。
炸醤麺の食べ方と原材料の確認
たれを麺全体によく絡め、菜碼も混ぜて食べます。たれが別添えの場合は、最初から全部入れるのではなく、量や好みに合わせて加えてください。北京では温かい麺も、水で締めて冷ました麺も一般的で、炸醤麺は必ず冷たい料理というわけではありません。[4]
注文前に、一杯全体の材料を確認してください。
- 肉と油脂:野菜が目立つ場合でも、たれに豚肉、肉のだし、ラードなどの動物性原料が入っていないか確認します。
- 麺と発酵調味料:小麦と大豆はよく使われます。麺に卵が入る場合があり、たれにはゴマなど別の原材料が加わることもあります。[3]
- ベジタリアン対応:見える肉だけを除いてもらうのではなく、たれや調理油脂も条件に合うか確認してください。
中国のベジタリアン料理を選ぶ場合も、原材料を一つずつ確認する方法が役立ちます。
炸醤麺のよくある質問
麺そのものを炒める料理?
通常、麺そのものは炒めません。麺は茹で、加熱して作った炸醤と合わせます。「炸醤」はトッピングとなるたれの調理法を指し、完成した一杯に炒めた麺やカリカリの麺が必要という意味ではありません。
炸醤麺は辛い?
北京風では、唐辛子の辛さよりも発酵調味料のうま味を前面に出すのが一般的です。台湾風や香港風には唐辛子を加える例もあります。辛さは一律ではないため、その店のたれを確認してください。
炸醤麺と担担麺の違いは?
炸醤麺は、発酵調味料を炒めて作るたれが味の中心です。四川の担担麺(担担面, dàndànmiàn)は、うま味のある具に加え、ラー油や花椒を効かせるのが一般的です。どちらもたれの濃さには幅があるため、「濃い・薄い」だけで一律に区別することはできません。
炸醤麺は温かい?冷たい?
どちらもあります。麺は温かいまま出すことも、茹でた後に水で締めて冷ましてから混ぜることもあります。麺が冷たくても、たれやすべてのトッピングまで冷たいとは限りません。
炸醤麺はベジタリアンにできる?
できます。肉の代わりにきのこや豆腐を使えますが、発酵調味料、だし、調理油脂も確認してください。野菜の付け合わせがあるだけ、あるいは豚肉だけを除いただけでは、一杯全体がベジタリアンまたはヴィーガンとは判断できません。
出典
[1] Wei Guo. Zha Jiang Mian (Fried Sauce Noodles, 炸酱面)
[2] Maggie Zhu. Zha Jiang Mian (Old Beijing Fried Sauce Noodle, 炸酱面)
[3] Lee Kum Kee. 甜面酱
[4] Beijing Tourism. 吃京味美食,品舌尖上的老北京
[5] Tiffy Cooks. Taiwanese “Fried Sauce” Noodle Zha Jiang Mian 炸醬麵
[6] TVB. 炸醬食譜|茶餐廳風味 港式炸醬麵|流行都市
[7] Korea Tourism Organization. Jjajangmyeon: A Korean-Chinese Favorite for All Ages
[8] Singsong Foods. Singsong Chunjang (Black Bean Paste) 200g